暮らす会社

「NPOっていうのはちょっと違うね。株式会社も違う気がするけど、選択肢がないな…」

2006(H18)年、私たちは「自分たちの仕事場」を作るにあたり、「株式会社」という枠組みを選びました。実をいうと、それはとても気の進まない選択で、 全く似合わない服を着てしまったように感じているのです。創業当時、世間の流れとしても「会社」のあり方に変化が起き始めていた頃で、会社法も改正された直後ではありましたが、ささらプロダクションは「企業を中心とした社会」に生きてきた私たちが見落としてきたものを丹念に見つめ直そうとすることが、大切な仕事の一つでもあるのです。さて、ではどんな場を望み、目指しているのでしょうか。

 

暮らす会社 ここに「暮らし」があること。
「一枚の畑」からの気づき

ささらプロダクションには、小さいながらも何百年にわたってこの地域で受け継がれてきた畑があります。 住宅街にポツンと残されたその畑を「一枚の畑」と名づけて手をかけ、慈しんでいます。しかし、最初の頃は「畑仕事は仕事の足かせになる」 と、ちょっと厄介者扱いをしていたのです。 作物は成長し始めると、病気になったり虫に食われてしまったりします。草に覆われ、負けてしまうこともあります。「仕事優先」と言いたい ところですが、作物は待ってはくれません。ちょっと子育てと似ていますね。

「一枚の畑」で採れた野菜は、とてもスタッフでは食べきれないほど実ってくれます。この土地のお百姓がしてきたように、私たちもご近所さ んや親しい人たちに「おすそ分け」を始めました。すると、作物が人と人をつなぎ、広げてくれるようになりました。 畑は足かせどころか、私たちにはできない仕事を担ってくれることに気がついたと同時に、「暮らしをおざなりにしてきたこと」にも気づかせてくれました。 

 

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「暮らす会社」の試み

私たちは「暮らし」を大切にしながら、人とのつながりを育む場を開いてきました。 それはまさに「試行錯誤」。なかなかうまくいかないこともあれば、うまくいっていたのに流行り病の前に断念をせざるを得ないことも…。こんな時、自分たちで記録した映画作品の中で、地域のお年寄りが言った「獅子舞が流行り病を払ってくれてありがてえ」といった言葉を思い出し、また改めて畑や蔵の扉に貼り出した「オオカミの護符」に込めた人々の願いに思いを馳せ、悠久の時の中に自分たちの暮らしもあることを振り返っています。

 

学びと交わりの場を開く 土曜日の会:

ささらプロダクションの作品を含め、私たちがセレクトした映画の上映×おはなしの会を 行い、その後には「一枚の畑」で採れた野菜のお料理を囲んで交流会を行ってきました。 新型コロナウイルスの蔓延により休止していますが、新たな形で復活を考えています。

 

Café&Restaurant 谷戸の下:2019~2020

「土曜日の会」を通じて、様々な方々とのご縁が広がりました。 その中に、同じ地域に暮す「料理の腕に覚えのある女性たち」との出会いがあり、 「一枚の畑」で採れた作物を召し上がっていただくCafé&Restaurant谷戸の下を 2019年に開店しました。 連日「満員御礼」の人気店として地域に浸透しつつありましたが、新型コロナ ウィルスの蔓延により閉店を余儀なくされました。

 

文:小倉美恵子

 

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