土曜日の会|多摩丘陵 第2話のゲストは、中村桂子さん(JT生命誌研究館名誉館長)です。最初に中村さんが「生命誌」に関するレクチャーをされ、その後対談となりました。
個人的にとても印象的だったのは、中村さんが会場の皆さんからの問いかけに丁寧にお応えしていた姿です。ひとつの話が誰かの何かを触発し、そこからなんとか言葉化された問いや応えが、さらに他の誰かの何かを刺激していく。問いの角度はそれぞれ違えども、曰く言い難いつながりがあり、それがやがて大きな輪になって会場を包んでいく。早急に問いの答えを求めていていくのではなく(それが本当の答えにはならないと誰もが気付いていたのかもしれない)、しかし「何かに近づく歩み」を止めるわけでもなく、そうしているうちに何かが少しずつ浮き彫りにされていく。こういう表現はおかしいかもしれませんが、それがとても心地よいものでした。
この映像を見る人たちにもそうした感覚が湧き上がってくることになれば、嬉しいです。
(由井 英|土曜日の会メンバー)