山は川や大地と結び、海につながっている。この結びつきのなかで人は暮らし、そこには風土がつくられていた。この風土は人々に生と死の諒解を与え、その諒解は神仏を人間たちに与えたるとともに、たえず風土の物語を生みだしつづけた。

この映画はそんな記憶の世界を描き出す。とともに自然との結びつきを否定し、つながり合う自然の世界を分断させた近・現代文明の哀しさを映し出す。それは、記憶の世界に戻ることも、さりとて現代文明に可能性を見いだすこともできなくなっている私たちを包む哀しさである。